制度の足切りラインは、住宅そのものの「環境スペック」へ容赦なくシフトした。不動産業界を駆け巡った衝撃は大きい。もはや国が認める省エネ性能を有していない住宅には、住宅ローン減税の恩恵は1円たりとも与えられない。かつて市場に溢れていた最低基準ギリギリの建売住宅は、税制上のメリットを完全に剥ぎ取られた格好だ。
現在、最大枠の控除を勝ち取るための絶対条件となっているのが、長期優良住宅や低炭素住宅の認定だ。これに準ずるZEH水準や省エネ基準適合住宅であっても一定の優遇枠は残るものの、枠の広がりには埋めがたい溝がある。国土交通省主導の「省エネ住宅建築支援プロジェクト」が後押しする高性能住宅の供給スピードに、中小工務店の設計施工力が追いついていない地域もある。減税目当てで契約したものの、引き渡し時に必要な証明書が発行できず、税務署の窓口で立ち尽くすような事態だけは避けなければならない。