陣馬の滝という勇壮な名称は、鎌倉幕府を開いた源頼朝に由来します。建久4年(1193年)、頼朝が富士の裾野で大規模な軍事演習を兼ねて催した「富士の巻狩り」の際、この滝の近くに本陣を敷いたことからその名が付けられました。
滝のすぐ手前、水辺へ降りる遊歩道沿いには「太鼓石(たいこいし)」と呼ばれる不思議な巨石が残されています。伝説によると、陣を張った頼朝の夜警たちが、滝壺から「ドンドン」と太鼓を打つような怪音を耳にしました。不思議に思った頼朝が滝壺を探らせたところ、水流の力で中空の奇石が激しく打ち合わされ、音を響かせていたことが判明。その石を引き揚げて陣営に持ち帰ったと伝えられています。
悠久の歴史を感じさせるこの太鼓石は、今も現地で実際に目にすることができます。水辺の清涼感だけでなく、鎌倉武士たちが馬を休め、焚き火を囲んだ光景に思いを馳せることができる点も、歴史ファンを惹きつける大きな要素です。