贈呈式の熱気が冷めやらぬ2017年6月、星野源は愛媛県松山市にある「伊丹十三記念館」をプライベートで訪問しました。記念館館長であり、伊丹十三の妻にして最大の理解者であった女優・宮本信子が自ら出迎え、館内を隅々まで案内するという特別な時間が実現したのです。
記念館関係者の証言によると、星野源は館内に展示された伊丹十三の直筆原稿、映画の絵コンテ、手製の料理レシピ、そして愛用した楽器や道具類を、息を呑むように見つめていたといいます。特に感銘を受けていたのが、伊丹十三が妥協を許さず自らの手で描き起こした膨大なスケッチやイラストでした。「すべては頭の中の構想を現実化するための手作業から生まれている」という現場の息遣いに触れた星野源は、展示ケースに顔を近づけ、少年のような眼差しで伊丹の思考の足跡を辿っていました。
宮本信子館長は、星野源に対して「伊丹が生きていたら、絶対にあなたのことが大好きだったはず。きっと真っ先に映画に出てほしいと頼んでいたでしょうね」と温かい言葉を贈ったと伝えられています。伊丹十三という不世出の巨匠を最も近くで見つめ続けてきた宮本信子のこの言葉は、自らの表現スタイルに苦悩してきた星野源にとって、何物にも代えがたい救いとなったはずです。SNSや文壇のコミュニティでも、「宮本信子にここまで言わしめた星野源の表現者としての凄み」が大きな話題を呼び、単なるタレントの枠を超えた文化人としての評価を不動のものにしました。