標準治療の枠を超えて、より身体への負担が少なく高精度な治療を求める患者が注目するのが先進医療だ。特に、ピンポイントで腫瘍組織を破壊する重粒子線治療は、非小細胞肺がんなどの特定症例において高い治療効果を発揮する先進技術として知られる。
ここで注視すべきは、先進医療の費用構造である。公的医療保険が適用されるのは、通常の診察や検査、投薬といった基本部分のみであり、先進医療の固有技術料(重粒子線治療の場合は約300万円前後に達する)は全額自己負担となる。この技術料には高額療養費制度が一切適用されないため、患者は数百万単位の現金を自己資金または民間の医療保険の「先進医療特約」などでカバーしなければならない。一見すると手が届きそうに見える先進治療にも、こうした巨大な経済的ハードルが潜んでいる。