有効期限を過ぎた医薬品のリスクは、単に「薬効が薄れる」ことにとどまらない。化学物質としての安定性が失われることで、体内で予期せぬ代謝物を生成し、肝機能障害や急性胃腸炎といった深刻な障害を引き起こす恐れがある。特に、抗生物質などで指定された期間を守らず途中で放置された薬は、体内の細菌に耐性を与えてしまう原因にもなる。
日本国内における医薬品の品質管理や安全対策を管轄する厚生労働省や、副作用情報を収集・分析する医薬品医療機器総合機構(PMDA)の公開情報を見ても、保管状態の悪化や品質低下に伴うリスクへの注意喚起は絶えない。有効期限を過ぎた化学成分は、もはや治療のための手段ではなく、体に負担をかける異物へと変貌する危険を秘めている。