back numberの楽曲が持つ最大の武器は、格好つけない情けない感情をそのまま吐き出す美学にある。清水依与吏の作詞手法は、一般的なポップソングに見られる記号的なフレーズの組み合わせとは一線を画す。彼が選ぶのは、日常の会話でふと零れ落ちるような、飾りのない無骨な言葉だ。しかし、それがひとたびメロディに乗ると、聞き手自身の過去の記憶や傷口と共鳴し始める。
関係者によれば、彼の楽曲制作はノートへの膨大なメモ書きから始まるという。「カッコいいフレーズを書こうとすると、大抵ろくなことにならない」と本人が漏らしたように、徹底的に己の弱さや格好悪さと向き合う作業が続く。推敲はミリ単位で行われ、1文の助詞を変えるためだけに数日を費やすことも珍しくない。聴く者が「自分の歌だ」と錯覚してしまうほどのリアリティは、こうした途方ない自問自答の末に削り出されている。