春菊というハーブにも似た独特の香草を天ぷらにし、温かい蕎麦に乗せるスタイルは、世界的に見ても極めてユニークな食文化だ。ユネスコ無形文化遺産にも登録された和食の神髄は、素材の持ち味を損なわずに旨味を引き出す点にある。
その意味で、春菊天と蕎麦の組み合わせは和食の伝統精神を最も身近に体感できる傑作といえる。苦味と甘み、サクサク感としんなり感、澄んだ汁と油のコク。相反する要素が見事に調和した一杯は、海外の食通たちからも「日本の洗練されたストリートフード」として絶賛されている。進化を続ける路麺文化の中で、この一杯はこれからも時代を超えて愛され続けるだろう。