タイパ(タイムパフォーマンス)を重視し、倍速でコンテンツを消費する若者たちが、なぜ4分を超えるスローテンポの歌謡曲に足を止めるのか。それは、彼らが「本物の感情」に飢えているからに他ならない。SNS上の記号化されたコミュニケーションに慣れ親しんだ世代にとって、泥臭くも真摯な愛の告白は、かえってリアルでドラマチックに映るのだ。
ある音楽評論家はこう分析する。「今の若者は、作り込まれた完璧さよりも、歌い手の人生が滲み出るような『揺らぎ』や『体温』を求めている。秋元順子の歌には、まさにその人生の厚みが宿っている」と。記号ではない、血の通った言葉がそこにある。