湿り気のある耳垢を持つ人が最も陥りやすい落とし穴が、強すぎる耳掃除である。粘り気があるため綿棒で取ろうと奥へ押し込んでしまい、かえって耳垢を奥に押し固めてしまう事故が後を絶たない。これが進行すると、耳の穴が完全に塞がる耳垢栓塞という病態を引き起こし、聞こえにくさや耳鳴り、自声強聴(自分の声が響く症状)を招く。
耳鼻咽喉科専門医が推奨する安全な耳ケア手順は至ってシンプルだ。綿棒を耳の奥まで入れず、耳の穴の入口から1センチ程度の範囲を優しくなぞるだけに留める。奥の汚れは耳の自浄作用によって自然と外へ排出される仕組みになっている。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会や厚生労働省の啓発情報でも、過剰な耳掃除による外耳炎のリスクが警告されており、半年に1回程度、耳鼻科で安全に除去してもらうのが最も確実なアプローチとされる。