ネット上の掲示板やSNSを調査すると、「高価な殻付きホッキ貝を取り寄せたのに、硬くて家族に不評だった」「アサリと同じ感覚で砂抜きのために塩水に一晩浸けていたら死んでしまった」といった失敗談が数多く報告されています。
水産市場の仲卸業者や沿岸部の料理人に取材を行うと、ホッキ貝の生態に起因する重要な現場ルールが浮かび上がります。アサリなどの浅煎り貝とは異なり、ホッキ貝は深く砂に潜る大型貝であるため、ボウルに入れた塩水で放置しても自力で砂を完全に吐き出すことはありません。家庭で砂を抜く唯一確実な方法は、「物理的に開いて水洗いする」ことだけです。
また、道央の海鮮割烹の料理長は次のように語ります。
「ホッキ貝は火を入れすぎた瞬間、旨味のエキスが全て外へ逃げて身がゴム化してしまう。家庭料理では『火を通す』のではなく、『熱い出汁や油で温める』感覚で調理するのが一番のコツです。身を鍋に投入したら、秒単位でカウントする癖をつけると失敗がなくなります」