2026年に入り、警察庁や複数の自治体によるビッグデータとAIを用いた実証実験は新たな段階を迎えた。過去数十年分の犯罪発生データ、人出の偏り、天候、さらにはSNS上の特定のキーワード頻度を組み合わせて「危険エリア」や「不審行動パターン」を可視化するシステムだ。万引きや街頭犯罪の件数が一部の地域で減少したという数値目標の達成が報じられる一方、現場の警察官からは困惑の声も漏れる。
都内の交番に勤務する30代の巡査は明かす。「AIが『リスク高』と弾き出した区画に張り付くと、どうしても長髪の男性や、ベンチで長時間佇んでいる生活困窮者に目がいってしまう。職務質問の回数が増えれば検挙数も上がりがちだが、それが真の犯罪予防になっているのか、それとも単に特定の人々を追い詰めているだけなのか、自問することがある」。統計的データに基づく予測という客観的なオブラートに包まれながら、実際には「怪しい人物」に対する主観的な監視が強化されているという指摘だ。