昭和50年代後半から60年代にかけて、裁縫箱のデザインは大きな転換期を迎える。和風の幾何学模様から、空前のファンシーキャラクターブームへのシフトだ。その先頭を走ったのが、OSAMU GOODSで知られるイラストレーターの原田治氏や、独特の繊細なタッチとファンタジックな世界観で一世を風靡した水森亜土氏の作品群である。
さらに学用品市場を席巻したのが、ソニー・クリエイティブプロダクツのヒット作『うちのタマ知りませんか?』だった。白猫のタマと仲間たちが描かれた裁縫箱は、男子女子の垣根を超えて爆発的にヒット。フタを開けるたびに心が躍ったあのキャラクターたちは、いまや昭和ポップカルチャー史を彩る貴重なグラフィックアートとして語り継がれている。