くいしんぼんというキャラクターの愛嬌を決定づけた最大の功労者が、担当声優を務めた松野太紀さんです。松野さんといえば『金田一少年の事件簿』の金田一一役や『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX』の万丈目準役、『犬夜叉』の鋼牙役など、数々の名作アニメで主役・主要キャラを演じた日本屈指の実力派声優として知られています。
松野さんがくいしんぼん役で見せたアプローチは、過度なデフォルメを避けつつ、幼児特有の無邪気さと「食べることが大好き」という純粋な衝動を、柔らかく温かいトーンで表現する職人技でした。「いただきま〜す!」「おいしい!」という何気ないセリフ一つをとっても、喉を鳴らすような幸福感あふれるブレスコントロールが施されており、聞いているだけでこちらまで幸せな気分にさせられます。
さらに特筆すべきは、松野さんが『でこぼこフレンズ』内で複数のキャラクターを同時に演じ分けていた点です。巨体で心優しい「オオガーラ」、集団でリズミカルに行動する「どんぐりん」など、声質もテンポ感も全く異なる役柄を同一人物が見事に演じ分けていました。制作関係者の証言でも「松野さんの変幻自在な声の芝居があったからこそ、短い尺の中でもそれぞれのキャラクターが一瞬で視聴者の心に刻まれた」と高く評価されています。惜しまれつつ世を去られた後も、その温もりに満ちた声はくいしんぼんの映像とともに生き続けています。