通夜や葬儀の現場で弔問客から「このたびはご愁傷様でございます」と声をかけられた際、多くの遺族が「不幸に対して『ありがとうございます』と答えてよいものか」という疑問を抱きます。結論から言えば、相手の「お悔やみの気持ち(心遣い)」に対して感謝を述べるという意味において、「ありがとうございます」と返すことは作法上まったく問題ありません。
ただし、日本語の響きとして「不幸を喜んでいるように聞こえないか」と不安を覚える場合は、語頭に言葉を補うのがスマートです。「お心遣い、ありがとうございます」「温かいお言葉をいただき、恐れ入ります」と言い換えるだけで、弔意に対する返礼であることが明確になります。
大手冠婚葬祭互助会の現場スタッフへの聞き取りでも、「ご遺族が言葉に詰まった際は、深く一礼するだけでも十分に礼意は伝わります。定型句を完璧に暗唱することよりも、故人を悼んでくれた相手に対する自然な会釈が何より大切です」との証言が得られています。