物語中盤以降、鯉登少尉のドラマは「月島軍曹(月島基)」との関係性を通じて大きく深化していきます。月島は鶴見中尉の側近でありながら、自らも過去を鶴見に弄ばれ、泥沼の忠誠を捧げ続ける「壊れた男」でした。当初の月島は、鶴見を盲信するお坊ちゃん・鯉登の教育係兼お守り役として付き従っていました。
樺太編のクライマックスにおいて、鯉登は自らの誘拐事件が鶴見の狂言であった疑惑を確信に変えます。しかし、鯉登は鶴見を告発して暴走する道は選びませんでした。彼が選んだのは、鶴見の甘美な嘘に囚われ、自暴自棄のまま地獄へ道連れにされようとしている月島を救い出すことでした。
「鶴見中尉殿がウソをついているなら…見届けなければならない」「お前を救いたい」と真っ直ぐにぶつかる鯉登の姿は、月島の凍りついた心を溶かしていきます。鶴見を神と崇める幼い信者から、部下を救い師団の未来を背負う「真の上官」へと脱皮した鯉登の姿に、読者コミュニティやSNS上でも「金カム史上最も美しい人間賛歌」として称賛が集まりました。