1950年代にアメリカの矯正歯科医ロバート・リケッツが提唱した「エステティックライン(Eライン)」は、欧米人の骨格をベースに設計された指標だ。長らく日本矯正歯科学会や審美歯科の現場でもひとつの目安として重宝されてきたが、元来、鼻が低く顎が後退しやすいアジア人の骨格にそのまま当てはめることには疑問符も投げかけられていた。
極端にEラインを意識するあまり、口元を無理に引っ込めたり顎を過剰に出したりすることで、かえって不自然な「老け見え」を招くケースも少なくない。直線定規で測るような美しさへの過信が薄れ、顔全体の調和こそを最重要視するリアリズムが定着し始めている。