米作りの尋常ならざる過酷さが世間に広く再認識された背景には、メディアやエンターテインメントの功績も大きい。古くはTOKIOの城島茂らが泥にまみれて荒れ地を開墾し、土壌改良から稲の交配までを手掛けた『ザ!鉄腕!DASH!! 米作りプロジェクト』が、そのリアルな生態系を茶の間に知らしめた。日曜の夜、テレビ画面を通じて視聴者は、雑草一本を抜く労苦や台風直前の恐怖を疑似体験したのである。
その後、本格的な稲作シミュレーションを取り入れたアクションRPG『天穂のサクナヒメ』が社会現象を巻き起こしたことも記憶に新しい。プレイヤーが攻略のために農業の専門書を読み漁り、病気や害虫の被害に頭を抱える姿は、米作りの複雑さを端的に証明した。NHKオンデマンドで配信されている数々の食育ドキュメンタリーと併せて、いまや消費者は「ご飯一杯の重み」を文化的文脈からも深く学ぶようになっている。