なぜ日本人は、ここまでサーモンに魅了されるようになったのか。農林水産省の水産物消費統計を紐解くと、かつて食卓の主役であったマグロやアジの生鮮消費量が長期的な減少傾向を辿るなか、生食用サーモンの輸入量は極めて堅調な推移を見せている。骨がなく、特有の血生臭さが少なく、冷凍解凍技術の進化によって一年を通じて安定したクオリティが担保されている点が、現代の魚離れに抗う強力な防波堤となっている。
外食産業においても、この二大食材の引力は絶大だ。カジュアルな回転寿司チェーンからカフェ業態のポキ丼専門店、さらには高級ホテルのブランチに至るまで、定番のラインナップから外れることはまずあり得ない。食材原価が高騰を続ける厳しい経済環境下にあっても、確実な集客と高い顧客満足度を叩き出せるキラーコンテンツとして、飲食業界の屋台骨を支え続けている。