当時の現場で実際に起きていた事態は、ネットの嘲笑的なコピペとは異なる、切実で哀愁に満ちた人間模様でした。飯田圭織バスツアー参加者の証言をつなぎ合わせると、極限状態に置かれたファンたちの痛々しいまでの優しさが浮かび上がります。
BBQ会場では、8人掛けのテーブルに用意された食材があまりに小分けだったため、見知らぬオタク同士が「どうぞ、ソーセージ食べてください」「いえ、私は玉ねぎがあるから大丈夫です」と互いに譲り合う光景が見られました。食欲を完全に失っていた参加者も多く、提供された烏龍茶のパックを前に、ただ呆然と立ち尽くす姿が散見されたといいます。
さらに参加者の精神を追い詰めたのが、午後に行われた飯田圭織バスツアー巨大迷路でした。千葉の蒸し暑い曇り空の下、木製の仕切りで作られた迷路の中に放り込まれたファンたち。ある参加者は当時の様子をブログやSNSで次のように回想しています。
「迷路の行き止まりにぶつかるたび、自分の人生の行き止まりを見せられているようだった。周りを見渡すと、グッズのハッピを着た大の男たちが無言でうつむきながら迷路をさまよっていて、誰からともなく『俺たち、これからどうすればいいんだろうな』と呟く声が聞こえた。涙を流しながら壁に手をついている仲間もいた」
この異様な空間体験が、ネット掲示板に投下された飯田圭織バスツアーネットの反応と合流し、「アイドルの結婚報告直後にオタクが迷宮を彷徨うシュールレアリスム」として瞬く間に拡散していったのです。