営業現場で決定打として用いられる2大キラーワードが「節税効果」と「サブリース(家賃保証)」です。しかし、この2つこそが買い手を泥沼へ引きずり込む元凶となっています。
「節税できるから赤字でも安心」のカラクリ
ワンルームマンション投資の節税効果の嘘は、税理士の間では周知の事実です。不動産所得の赤字を給与所得と損益通算することで、所得税や住民税の還付を受けられるのは事実ですが、これは「減価償却費などの帳簿上の経費」が大きいうちだけの時限爆弾に過ぎません。
RC(鉄筋コンクリート)造のマンションは耐用年数が47年と長く、年間に計上できる減価償却費は少額です。初年度こそ仲介手数料や登記費用などの初期費用を経費計上できるため還付金が多くなりますが、2〜3年目以降は経費枠が急減します。残るのは、減税額を遥かに上回る「毎月の純粋な現金持ち出し」だけです。10万円の税金を減らすために20万円の現金を自腹で流出させる行為を、資産形成と呼ぶことは不可能です。
サブリース契約のリスクと解約トラブルの泥沼
「空室になっても毎月決まった家賃が振り込まれる」というサブリース契約のリスクと解約トラブルも深刻化しています。多くのオーナーが誤解していますが、サブリース会社は借地借家法上の「借家人」として法的に強く保護されています。
契約書に「30年一括借り上げ」と書かれていても、借地借家法第32条(借賃増減請求権)を盾に、数年ごとの更新時に一方的な家賃減額を迫られます。減額に応じなければ契約を一方的に解除され、家賃保証は消滅します。さらに恐ろしいのは売却時の縛りです。サブリース契約が付いたままのワンルームは、買い手が利回りを計算できないため、売却相場が相場の15〜20%安まで暴落します。いざサブリースを解除して売却しようとしても、高額な違約金を請求されたり「正当事由がない」として解除を拒否され、出口を完全に塞がれるケースが多発しています。