森高千里というアーティストが日本の音楽シーンに刻み込んだ足跡は、極めて独創的だ。1989年に発表した『17才』のカヴァーで身を包んだ鮮烈なコスチュームは、当時の音楽業界に大きな衝撃を与えた。当時所属していたワーナーミュージック・ジャパンから放たれる楽曲群は、それまでの定型化されたアイドル歌謡曲の枠組みを根底から揺さぶっていく。
彼女の特異さは、自らペンを執るシニカルかつ客観的な歌詞世界にあった。女性アイドルの儚さや消費されるスピードを逆手に取るかのように、あえて記号的なミニスカートを纏い、完璧なビジュアルでステージに立つ。それは男性目線のファンタジーに対する批評であり、極めて知的なJ-POPの自己演出でもあった。本人が自覚的に選んだスタイルだからこそ、単なる流行歌の枠を越え、時代を象徴するポップアートへと昇華されたのである。