事態が全国的な注目を集める最大の契機となったのが、はてなブログで公開された告発ドキュメンタリー漫画『脳外科医 竹田くん』である。愛らしいタッチの動物キャラクターで描かれながら、その内容は戦慄を覚えるほど生々しい医療現場の記録だった。手技の未熟な医師が重大な医療過誤を繰り返し、先輩医師や同僚が悲鳴を上げ、それでも病院上層部が執刀を止めない不条理が冷徹に描かれていた。
SNSのX(旧Twitter)を中心に拡散されたこの作品は、単なるネットミームにとどまらなかった。作中に描かれた手術内容、医療器具の操作ミス、合併症の経過、そして院内会議でのやり取りに至るまで、兵庫県赤穂市にある赤穂市民病院で実際に発生した事故の報告書やカルテ開示の記録と戦慄するほど一致していたのだ。モデルとなった男性医師は、技術の拙劣さを自覚することなく危険な手術を強行し続けたとされ、その背後には医師個人の資質にとどまらない組織ぐるみの隠蔽構造が横たわっていた。