二人の関係を語る上で欠かせないのが、互いの代表作にまつわる制作秘話だ。竹内まりやが作詞・作曲を手掛けた名曲「プラスティック・ラブ」は、山下達郎による緻密極まるアレンジとベースライン、ギターカッティングが施されたことで、時代を超えるグルーヴを獲得した。彼女が紡いだ都会の哀愁を、彼が完璧なサウンドデザインで具現化した傑作である。
一方、山下達郎の代名詞である「クリスマス・イブ」が生まれた背景にも、家庭内での穏やかな時間や、互いの創作に対する忌憚のないフィードバックが存在していた。お互いが第一のリスナーであり、最も手厳しく、最も信頼できる批評家であること。この緊張感と愛情の絶妙な配合が、何十年経っても色褪せないエバーグリーンな楽曲群を生み出す原動力となった。