なぜ人は、熱を帯びた布団に潜り込みながら、冷たくジューシーな果実を欲するのか。この長年の疑問に対し、近年の栄養生理学が明快な答えを提示している。暖房機器の中に長時間身を置くと、自覚のないまま皮膚から水分が蒸発する「不感蒸泄」が亢進する。ここで失われがちな水分と電解質、そして代謝に必要なクエン酸を、手軽に補給できる理想的なパッケージこそが柑橘類なのだ。
特筆すべきは、温州みかんに豊富に含まれる色素成分「β-クリプトキサンチン」の働きだ。最新の臨床研究では、この成分が骨代謝の維持や生活習慣病リスクの低減だけでなく、加齢に伴う酸化ストレスから細胞を守る強力なシールドになることが示されている。こたつによる下肢の加温が血流を促進し、果汁に含まれるビタミンCやフラボノイドの体内循環を劇的に高めるというデータもある。単なる気晴らしのつまみ食いが、実は理にかなった冬の自己防衛策だったというわけだ。