なぜ改修はここまで遅れるのか。現場が直面しているのは、単純な予算不足だけではない。
自治体が改修を検討する際、国の学校施設環境改善交付金といった補助スキームを利用するのが一般的だ。しかし、校舎の大規模長寿命化工事や耐震化、空調設置などが優先され、トイレ単体の改修はどうしても後回しにされがちだった。
さらに現在、現場を直撃しているのが建設業界全体の構造問題だ。衛生設備工事業における深刻な配管工・職人の高齢化と人手不足、そして資材価格の高騰により、自治体が改修工事を入札にかけても事業者が集まらず「入札不調」に終わる事例が全国で相次いでいる。予算を確保しても工事が着工できないという新たなボトルネックが、老朽化の放置に拍車をかけている。