日本国内で広く目にする種の多くは「ニホンヤモリ」である。学術的な研究を行う日本爬虫両棲類学会などの知見によれば、本種は完全な原生林よりも、むしろ人間の生活圏である都市部や住宅地に高度に適応した生態を持つ。環境省が実施する生息分布調査においても、木造家屋から近代的なコンクリートマンションまで幅広く生息域を広げていることが記録されている。
かつてNHKの科学番組などで親しまれた伝説的な生物学者・千石正一氏は、日本の爬虫類学を広く一般に普及させた立役者だが、彼もまた人間と身近な爬虫類との共生関係について深く言及していた。人間の建物が作る微細な隙間や人工照明に集まる昆虫は、彼らにとって天敵から身を守りつつ餌を確保できる絶好のハイブリッド環境なのだ。