起源をたどると、室町時代の謡曲『鉄輪(かなわ)』や、京都の貴船神社にまつわる伝承に行き着く。本来、貴船参りは願掛けのための神聖な参拝だった。だが、嫉妬に狂った女が鬼と化して夫を呪い殺そうとした物語が拡散し、いつしか藁人形に釘を打ち込む陰湿な怨念の儀式として定着した。
江戸時代には都市伝説のように全国へ広まり、丑の刻参りは「誰にも見られてはならない」という厳格なルールの下で行われた。見られた瞬間に呪いが自分に跳ね返るという心理的緊迫感。この構造こそが、後世の怪談や物語表現において強力なサスペンス要素として機能することになる。