渡辺徹さんの命を奪った敗血症とは、体内で増殖した細菌やウイルスなどの感染症に対して過剰な生体反応が起き、主要な臓器が次々と機能不全に陥る重篤な病態である。健康な状態であれば免疫システムが感染を食い止めるが、長年にわたって糖尿病を患っていた渡辺さんの体内では、免疫機能が著しく低下していた。
30代前半で発症した糖尿病は、旺盛な食欲と多忙なロケ生活の中で徐々に悪化していった。2012年には虚血性心疾患の手術を受け、2021年からは慢性腎不全のため人工透析を開始。1回数時間に及ぶ人工透析を週3回受け続ける生活は、身体に甚大な負担を与え続けていた。感染に対する防御力が削ぎ落とされた状態の中で発症した敗血症は、瞬く間に彼の体力を奪い去っていったのである。