元フジテレビの伝説的アナウンサーとしてキャリアを重ねた彼は、いかにして国民的司会者となったのか。その答えは、徹底した「準備の美学」にある。
生前の彼を知る番組スタッフたちが口を揃えるのは、本番前における緻密な下調べだ。どれほど多忙を極めても、共演者の過去の発言やゲストの資料に目を通し、自分なりのノートを作成していた。当時の局内では、彼のロッカーやデスクに付箋がびっしりと貼られていたというエピソードが残っている。画面で見せる軽妙なやり取りの裏には、血の滲むような努力が隠されていた。
また、看板番組だった『夜のヒットスタジオ』の司会を引き受けた際には、歌謡曲の歴史から最新のヒットチャートまでを徹底研究。歌手たちが歌いやすい空気を作り出しつつ、緊張感を絶妙にコントロールした。生放送のアクシデントすらも番組の熱量へと変えてしまう度量は、徹底的な準備という土台があったからこそ可能だったのだ。