業界の技術水準向上を担う日本ヘアデザイン協会のセミナーやコンテストでも、フロントセクションのデザイン力は審査の最重要項目として位置づけられている。全体のフォルムがいかに整っていても、フロントの表情が顧客の個性にフィットしていなければ高い評価は得られない。
先進的なヘアサロンでは、カウンセリング時にドライ状態での毛流れの癖を細かくチェックし、ウェットカットとドライカットを複雑に組み合わせる手法が定着した。乾いた状態で自然に落ちる位置を見極めながらスライドカットを施すことで、自宅に帰ってからもサロンと同じ仕上がりが再現できる。顧客が手鏡を見た瞬間に零す笑顔こそが、技術の進化を何よりも雄弁に物語っている。