魔界のパワーバランスを決定づける最高権力機関「13冠」。大貴族会(デビキュラム)で描かれた13冠の集いでは、三傑(サリバン、ベリアル、レディ・レヴィ)による次期魔王推薦枠を巡り、政治的謀略が火花を散らしました。
この中で暗躍するのが、元祖帰り集団「六指衆」を操る雷皇バアルです。バアルは魔界をかつての混沌と暴力に満ちた弱肉強食の世界へ回帰させるため、デルキラの遺産とサリバンの失脚を狙っています。ナベリウス・カルエゴの兄であるナルニアの介入や、行方不明だったサブノックの叔父・バールとの確執など、物語は単なる学園モノから高度な政治サスペンスへと進化を遂げました。
一方、入間の行動原理の根底にある「超絶お人好し」「頼みを断れない性格」は、人間界にいた実の両親による過酷なネグレクトと育児放棄(ポストアサルト)によって形成されたものです。自分の快楽と借金返済のために幼少期から入間を過酷な労働に従事させ、最終的に数百万の金銭のために悪魔へ魂を売り払った両親は、フィクション界屈指の「毒親」と言えます。
家族社会学および心理学的な観点から見ると、入間は幼少期に「心理的バウンダリー(自他境界線)」を完全に破壊され、他者の機嫌を取ることでしか生存を許されない極限状態に置かれていました。しかし魔界でサリバンという無償の愛を注ぐ保護者に出会い、問題児クラスの仲間やアメリとの健全な人間関係を築くことで、入間は自発的な意志(「〜したい」という欲望)を獲得していくという見事な回復のプロセスを歩んでいます。
また、読者から熱烈な支持を集めるアメリとの恋愛進展も見逃せません。デビキュラムでの優雅なダンスやプールでの密着イベントを経て、アメリの恋心は完全に自覚的なものへと昇華しました。入間側も無自覚ながらアメリを一人の異性として意識する描写が増加しており、恋の行方は物語の温かな推進力となっています。