時代が2010年代半ばへ差し掛かる頃、動画プラットフォームの空気感は急速に変貌を遂げていた。その中心にいたのが、HikakinTVを主宰し、常に誰からも愛される安全で楽しいコンテンツを提供し続けたHIKAKINである。彼は商品レビューやボイスボックスを武器に、子供から大人まで安心して楽しめる動画制作のスタイルを確立した。
一方、同世代の若者から絶大な支持を集めていたのがワタナベマホトだった。音楽ユニットでの活動や、エッジの効いた企画、時に危うさを孕んだ企画構成は、ティーンエージャーの反逆心と共鳴した。彼が所属していたMCN(マルチチャンネルネットワーク)であるGENESIS ONEは、カルチャーとしての力強さを前面に押し出し、初期のファンコミュニティを熱狂させた。
この二つの潮流は、当時の「好きなことで、生きていく」キャンペーンによって、一気に表舞台へと引きずり出されることとなる。王道を歩むUUUM株式会社の象徴としてのHIKAKINと、エッジの効いたカウンターカルチャーを体現するワタナベマホト。二人の接近と擦れ違いは、まるで光と影が交差するような緊張感を孕んでいた。