小泉純一郎という政治家の最大の武器は、複雑な政策課題を一言のフレーズに凝縮し、テレビカメラの向こう側にいる国民の感情を揺さぶる「ワンフレーズ・ポピュリズム」だった。キャスター出身である小池氏は、この手法を誰よりも近くで観察し、自らの血肉へと変えていった。フレーズのキレ、フリップを使った視覚的演出、そしてあえて敵を設定して自らを改革者に見せる「劇場型政治」のDNAは、完全に受け継がれたと言ってよい。
だが、小池氏は単なる模倣者にとどまらなかった。小泉氏が男性的な「力と決断」を前面に出したのに対し、小池氏は時にしなやかに、時に冷徹にメディアの空気感を読み取り、自身のブランディングをブラッシュアップし続けた。小泉政権下で培われたセルフプロデュースの技術は、後に彼女が自民党を飛び出し、東京都知事選で圧勝を果たすための最大の武器となっていく。