南鳥島は、周囲わずか5.5キロメートルほどの平坦なサンゴ礁の島だ。かつては気象庁の観測所や自衛隊の施設が置かれる「最果ての拠点」に過ぎなかった。しかし、その足元に広がる水深6,000メートルの海底に巨額の「宝」が埋蔵されていることが判明して以来、世界中の地政学リスク研究者からの注視を一身に集めることとなった。
海底に沈むレアアース泥には、電気自動車(EV)の強力なモーターや風力発電機、さらには防衛装備品に不可欠なジスプロシウムやテルビウムが高濃度で含まれている。2026年現在、採掘技術の実用化が急ピッチで進み、長年続いてきた「中国によるレアアース供給独占」という構造的弱点を打破する千載一遇のチャンスが日本に訪れている。だからこそ、この資源を巡る国際的な牽制行動がこれまでにない熱量を帯び始めているのだ。