違う神社への返納は基本的に問題ありませんが、一般の参拝者が最も陥りやすい落とし穴が「神社」と「お寺(寺院)」の混同です。明治初期の神仏分離令以降、神道と仏教は教義・祭祀・施設が厳格に区分されています。神社のお札をお寺へ持ち込んだり、お寺のお札を神社の古札納所へ投げ入れたりする行為は、管理上も重大なマナー違反と見なされます。
特に間違いやすいのが、神社のような名称を持ちながら実際には寺院であるケースです。全国的に著名な寺社を例に挙げると、次のような分類になります。
- 神社(鳥居・二拝二拍手一拝):明治神宮、伊勢神宮、出雲大社、伏見稲荷大社、太宰府天満宮、靖国神社など
- 寺院(山門・合掌・線香):成田山新勝寺、川崎大師(平間寺)、浅草寺、豊川稲荷(妙厳寺)、高尾山薬王院など
たとえば「豊川稲荷」はお稲荷様として親しまれていますが、曹洞宗の寺院(妙厳寺)であるため、神社ではなく寺院のお札として扱う必要があります。お札の表面に「〜大本山」「〜寺」「南無〜」といった仏教用語が記載されているものは、必ず寺院または同一宗派のお焚き上げ所へ返納しなければなりません。
また、寺院間における「お札返納違う宗派」の持ち込みについても注意が求められます。真言宗のお札を浄土真宗の寺院へ納めるようなケースでは、教義の違いから受領を断られる事例が報告されています。寺院のお札は原則として「同じ宗派の寺院」に返納するのが鉄則です。