ビジュアルの美しさに目が奪われがちだが、この寺の本質はどこまでも「祈りの場」である。推古天皇の病気平癒を祈願したことに始まり、聖武天皇の妃である光明皇后が安産を祈願したとされる由緒ある歴史を持つ。
本堂に祀られている本尊の「数面観世音菩薩」は国指定の重要文化財であり、今もなお安産や子育祈願のために全国から妊婦や家族連れが参拝に訪れる。境内には無事に引き締まったお腹で出産を終えたお礼として納められた底の抜けた柄杓(ひしゃく)が並び、古くから伝わる信仰の深さを物語っている。時代が変わろうとも、命の誕生を慈しむ人々の思いは変わらない。