日本の酒場スタイルが国境を越えて愛される背景には、コンテンツの爆発的な世界配信があります。かつて『深夜食堂』がNetflixを通じて世界190カ国以上に配信され、カウンター越しに交わされる人間模様と素朴な和食の魅力が地球規模で共有されました。一皿の玉子焼きや豚汁が、海を越えた観客の心を惹きつけたのです。
さらに、漫画家・新久千映氏のヒット作を原作とする『ワカコ酒』(BSテレ東ほかで放映)は、「女ひとり酒」というスタイルをすっかり定着させました。主人公が美味しい料理とお酒に出会った際に見せる吐息「ぷしゅー」は、一人飲みの心理的ハードルを劇的に下げた象徴的フレーズです。酒場通のタレントとして知られる吉田類氏の番組が長年培ってきた「酒場放浪」のノウハウも合わさり、かつての男性中心だった空間は、あらゆる世代や性別が自分なりの幸福感を追求する多角的な文化空間へと様変わりしました。こうした一連のグルメドラマ作品群が導いた波は、日本の真髄たる居酒屋文化を世界的ブランドへ押し上げています。