ガラガラと重い引き戸を開けると、檜の濃厚な香りが鼻腔をくすぐる。外観の慎ましさとは対照的に、浴場内に足を踏み入れた瞬間に広がる空間美は圧巻だ。天井を見上げれば、長年の湯気に燻された木材が重厚な光沢を放っている。
この地に伝わる伝承によると、かつて中国の景勝地・西湖から移植された柳の木の下から温泉が湧き出たことが名称の由来だという。川沿いに揺れる柳の緑と、クラシックな木造建築が創り出す風景は、まるで一枚の絵画のようだ。単に湯に浸かるだけでなく、歴史の息吹を五感で堪能できる点が、他の温泉施設にはない唯一無二の魅力といえる。