土地の取得から基本構想、そして幾度にも及ぶ設計変更——。「前澤邸」のプロジェクトが動き出してから、すでに10年以上が経過した。なぜこれほどの時間と膨大な資金が必要だったのか。答えはシンプルだ。妥協を一切許さない前澤氏の意志が、施工現場の職人たちに究極の手仕事を要求し続けたからに他ならない。
広大な敷地を確保した千葉市内の閑静な住宅街。周囲の景観と調和させつつも、一歩足を踏み入れれば外部の喧騒を完全に遮断する設計が施されている。外壁の質感一つ、木材の年輪の方向一つに至るまで徹底的な吟味が重ねられた。総工費100億円超という数字ばかりがメディアで喧伝されがちだが、本質は金額の大きさではない。職人技の粋を集め、現代の日本で失われつつある伝統技術をアップデートしようとした試みそのものに価値がある。