多くの読者が長年抱いてきた「なぜあそこで挑発に乗ってしまったのか」という疑問。その回答は、エースという男の生い立ちと精神構造の深層に隠されている。実父であるロジャーの影に苦しみ、自分の生まれてきた意味を問い続けてきたエースにとって、自分を「息子」と呼んでくれた白ひげこそがアイデンティティのすべてだった。
赤犬(サカズキ)が言い放った「白ひげは所詮…先の時代の敗北者」という言葉。それは、エースが人生をかけて獲得した「愛される恐怖からの解放」と「本当の家族」を根底から否定する毒だった。引き返すことは、生存本能よりも大切な「親父の尊厳」を守るための必然的な決断だったと言える。