ジャーナリストの池上彰氏は、かつて「通信社こそが日本のジャーナリズムの黒衣であり、その取材力の低下は社会全体の損失につながる」と指摘した。権力の不正を暴き、声なき声を取り上げる調査報道は、多大な時間と人的リソースを消費する。効率性が求められる現代において、最もコストがかかる分野でもある。
それでも現場の記者たちは、公文書の開示請求や地道な聞き込みを重ね、隠された事実を掘り起こし続けている。政治資金の不透明な流れや地方自治体の不正経理など、通信社のスクープが社会を動かした例は数知れない。速報性という看板を守りつつ、深掘りした調査報道の価値をいかに可視化し評価につなげるか。現場の熱量と経営の合理化の間で、模索は続いている。