着席スタイルの堅苦しいディナーよりも、思い思いの場所に座ってグラスを傾けるスタンディングやカジュアルな会が好まれる昨今、主役に躍り出たのがフィンガーフードだ。
なかでも竹串やピックに食材を刺すピンチョスは、コストと手間の両面で絶大な威力を発揮する。うずらの卵のピクルスにミニトマト、一口大のモッツァレラチーズを重ねる。あるいは、スモークサーモンでクリームチーズを巻き、ディルを一筋添えるだけ。包丁を入れて串に刺す。それだけの動作で、居酒屋風のツマミが洗練されたバルの一皿へと昇華する。
ピンチョスの真骨頂は、食べやすさとリズム感にある。フォークやナイフをカチャつかせる必要がないため会話が途切れない。ゲストの手元を汚さず、皿の片付けも最小限で済む。テーブルの上に整然と並べられた色鮮やかな串の列は、それ自体がアートのように空間を華やかに彩ってくれる。