このムーブメントの原点を語る上で欠かせないキーパーソンがいる。ラッパーのエイサップ・ロッキーだ。彼がグッチのシルクスカーフをあご下で結び、楽曲『Babushka Boi』とともに提示したアイコニックなビジュアルは、従来のメンズウェアの規範を根底から覆した。「バブーシュカ(ロシア語でおばあさんの意)」と呼ばれたそのスタイルは、男性的なストリートカルチャーとクラシックなエレガンスの境界線を曖昧にした。
その熱気を受け継ぎ、日常の洗練されたクワイエット・ラグジュアリーへと落とし込んだのがヘイリー・ビーバーをはじめとする現代のイット・ガールたちだ。彼女たちがInstagramやオフショットで披露する、オーバーサイズコートと頭部を包むニットのコントラストは、瞬く間に世界中のフォロワーへ拡散。クラシックな装いが、最もエッジの効いた現代のユニフォームへと塗り替えられた瞬間だった。