ファンの間で長年大きな関心を集めてきたのが、「なぜ花の呼吸には壱ノ型(および参ノ型)が描かれなかったのか」という疑問です。ネット上では「作者の描き忘れではないか」「実は存在しないのではないか」といった推測も飛び交いました。
しかし、物語の緻密な構成を精査すると、壱ノ型 理由には極めて明確な物語構造上のロジックが浮かび上がります。結論から言えば、壱ノ型が存在しないのではなく、「作中でカナヲが直面した戦闘局面において使用する必要がなかった、あるいはカナエの固有技であった可能性」が高いと分析できます。
水の呼吸における壱ノ型「水面斬り」が水平に鋭く薙ぎ払う基本技であるように、多くの呼吸において壱ノ型は「最もベーシックな単発踏み込み斬撃」として定義されています。しかし、カナヲが本格的に戦闘を展開したのは無限城における上弦の弐・童磨戦でした。通常の単発攻撃が一切通用せず、広範囲に凍結の血鬼術がばら撒かれる極限状態において、求められたのは多方向からの攻撃を同時に防ぐ弐ノ型 御影梅や、間合いを詰めながら連続で刻む伍ノ型 徒の芍薬でした。
さらに、公式スピンオフや設定集を紐解くと、カナヲは姉である胡蝶カナエの戦いを「見取り稽古」によって独学で習得した経緯があります。カナエが得意とした基本の壱ノ型よりも、より実戦的で危機回避に直結する技を優先して昇華させていったという解釈も、彼女の過酷な生い立ちと驚異的な観察眼に合致しています。