インターネット上の検索やコミュニティで頻繁に見られるのが、「血液検査で炎症反応が高い=がんの末期ではないか」という極端な不安の声です。この誤解に対しては、医学的な正確さをもって冷静に事実を把握する必要があります。
結論として、「血液検査の炎症反応のみでがん(悪性腫瘍)と確定診断されることはない」というのが確立された見解です。確かに、進行したがん組織が壊死を起こしたり、腫瘍周囲で炎症が生じたり、あるいはがん細胞自体が炎症物質を産生することでCRPが上昇する現象(いわゆる腫瘍随伴症候群)は存在します。しかし、CRPは特定の病気を指し示す特異的なマーカーではなく、あらゆる刺激に対して反応する「全身の火災報知器」に過ぎません。
むしろ、長引く炎症反応で精密検査を行った結果として多く見つかるのは、膠原病(自己免疫疾患)です。関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性筋炎、血管炎症候群などは、自己の免疫が正常組織を攻撃することで慢性的な高数値を記録します。診断には、抗核抗体やリウマトイド因子(RF)、抗CCP抗体などの特殊な自己抗体検査を組み合わせる必要があります。