ネット上の情報や料理ブログには、時に事実とは異なる誤解が散見されます。最も多い誤謬が「大葉という特別な品種があり、青じそよりも葉が大きい」という説です。
園芸店やホームセンターの種苗コーナーに行くと「大葉」と書かれた種袋が並んでいますが、裏面の品名欄を確認すると、例外なく「青じそ」または「シソ」と記載されています。つまり、大葉という名の独立した品種は存在せず、青じその中で葉が大きく育ちやすい系統を便宜上そう呼んでいるに過ぎません。
また、「赤じその葉も大きくなれば大葉と呼ぶのか」という疑問も寄せられますが、赤じそを大葉と呼ぶことは商慣習上絶対にありません。大葉という言葉は、刺身の緑のあしらい(つまもの)として誕生した経緯があるため、緑色の青じその葉だけを指す固有の商品名として厳格に運用されています。
栄養学的な側面からも、この葉の機能性は極めて優秀です。特有の清涼感ある香りは、精油成分であるペリルアルデヒドの栄養と効能によるものです。ペリルアルデヒドには極めて強力な抗菌作用・防腐作用があり、生魚に添えることは食中毒予防という科学的合理性に基づいています。さらに抗酸化作用を持つβカロテンやビタミンC、アレルギー抑制効果が研究されているポリフェノールの一種「ルテオリン」も豊富に含まれています。
しかし、大葉は極めて乾燥と低温に弱いという弱点を持ちます。誤った保存をすると2〜3日で黒ずんで萎びてしまいますが、適切な手法を取れば驚くほど鮮度を保てます。
プロが推奨する大葉の鮮度を保つ保存方法は以下の手順です。
少量の水(深さ数ミリ程度)を入れた小さな密閉容器や細長いグラスに、大葉の軸(茎)の先端だけを浸かるようにして立てて入れます。葉先が水に浸かるとそこから傷むため、軸だけを水につけるのが最大のコツです。上からラップをかけるか蓋をして密閉し、冷蔵庫の野菜室で保管します。2〜3日おきに水を交換すれば、2週間から3週間近くみずみずしい状態を維持することが可能です。
料理における薬味料理の使い分けレシピの視点では、香りの立たせ方が重要です。ペリルアルデヒドは細胞が壊れることで揮発するため、冷奴やそうめんの薬味にする際は、千切りにしてから指先で軽く揉むと香りが倍増します。一方で、天ぷらや肉巻きのように加熱調理する場合は、加熱しすぎると香気成分が飛んでしまうため、片面だけに衣をつけて高温で短時間揚げるか、火の通りやすい肉で巻いて手早く仕上げるのがプロの技法です。