NHK放送100年を超える歴史の蓄積のなかで、2010年4月に新設されたドラマ10枠は、当初「40代から50代の女性を引きつけるドラマ」をコンセプトにスタートしました。その第1弾となった角田光代原作の『八日目の蝉』(檀れい主演)は、母性とは何かを問いかける凄絶なサスペンスとして大反響を呼び、放送文化基金賞など数々の賞を総なめにしました。さらに同年秋に放送された大石静脚本の『セカンドバージン』(鈴木京香主演)は、大人の恋愛を真正面から描き「セカバ現象」と呼ばれる社会現象を巻き起こしました。
その後も枠の挑戦は止まらず、近年に至るまで名作が生み出され続けています。よしながふみの名作漫画を男女逆転のスケールで完全映像化した『大奥』(2023年)は、Season1・Season2を通じて国内外の批評家から絶賛を浴び、日本の時代劇表現を刷新したと評されました。また、不動産業界の闇と人間模様を痛快に描いた山下智久主演の『正直不動産』(2022年・2024年)は、嘘がつけなくなった営業マンの葛藤を通じて現代の労働観を問い直し、幅広い年齢層から絶大な支持を獲得しています。
さらに、桐野夏生原作で生殖医療と貧困を描いた『燕は戻ってこない』(2024年)や、定時制高校の科学部を舞台に人生の再起を描いた『宙わたる教室』(2024年)など、社会の周縁に光を当てた人間ドラマは、単なるエンターテインメントを超えた「時代を記録する批評性」を持っています。歴代最高傑作の議論において常に名前が挙がるこれらの作品群は、原作の核心を抉り出す脚本力と、妥協のない演出が結実した結果と言えます。