『仮面ライダーディケイド』を語る上で避けて通れないのが、テレビシリーズ最終回(第31話)の衝撃的な結末と、そこに隠されたディケイドの伏線回収の全貌です。本編ラストシーンにおいて、士は九つの世界を巡り終えたものの世界を救うことは叶わず、突如として仮面ライダーブレイドやキバら歴代のライダーたちから敵と見なされ、刃を向けられるという前代未聞のクリフハンガーで幕を閉じました。
当時、BPO(放送倫理・番組向上機構)への意見が寄せられるなど社会現象とも言える波紋を広げたこの展開ですが、物語の真の終着点は同年冬に公開された映画『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010』に委ねられました。劇場版において、士は自ら進んで「世界の破壊者」という悪名を受け入れ、すべてのライダーを容赦なく撃破していきます。
世界の破壊者の意味と真相は、制作統括を務めた白倉伸一郎プロデューサーらが後のインタビューや回顧録で語った通り、「各世界が融合して消滅するのを防ぐため、一度すべてのライダーの物語を完全に破壊し、記憶として固定化することで再創造を可能にする」という極めて逆説的な救済措置でした。物語を持たない存在として創られた門矢士自身が、ヒロイン・光夏海や仲間たちの記憶に焼き付けられることで復活を遂げる構造は、メタフィクションとしての『ディケイド』の神髄と言えます。