万が一、誤って食べてはいけないものを口にしてしまった場合、生死を分けるのは初動対応のスピードです。アレルギー反応は食後数分から数時間以内に進行しますが、特に重篤なアナフィラキシーは摂取後15分〜30分以内に症状が急激に悪化します。
見逃してはならない初期症状は、局所的な痒みだけではありません。手のひらや足の裏の激しい痒み、唇や喉の腫れ、声のかすれ(嗄声)、胸が締め付けられるような咳き込み、突然の腹痛や下痢・嘔吐、そして全身倦怠感やふらつきが連続して現れます。複数の臓器にまたがって症状が出現した状態をアナフィラキシーと呼び、血圧低下や意識障害に陥った状態をアナフィラキシーショックと定義します。
発症時の具体的な対処ステップは以下の通りです。
1. 直ちに追加の摂取を中止し、口腔内をゆすぐ
口の中に残っている食物を吐き出させ、水ですすぎます。無理に喉の奥に指を突っ込んで吐かせようとすると、吐瀉物が気道を塞ぐ窒息事故を招くため推奨されません。
2. アドレナリン自己注射薬(エピペン)の即時投与
過去に重篤な症状を経験してエピペンを処方されている場合は、躊躇せず大腿部の前外側に強く押し当てて注射します。「もう少し様子を見よう」という数分の迷いが致命傷になり得ます。
3. 救急車(119番)の要請と安静の確保
直ちに救急要請を行い、「食物アレルギーによるアナフィラキシーの疑いがある」旨を伝えます。救急隊の到着を待つ間は、仰向けに寝かせて両足を30cmほど高く保つ(仰臥位)のが基本姿勢です。血圧低下による脳貧血を防ぐための不可欠な処置です。ただし、呼吸が著しく苦しい場合は無理に寝かせず、上半身を少し起こした楽な姿勢を取らせます。突然立ち上がらせたり歩かせたりすると、急激な心停止を引き起こす恐れがあるため絶対に動かしてはなりません。