紅海とスエズ運河を地図で徹底解剖!なぜ船は喜望峰へ迂回するのか

紅海とスエズ運河を地図で徹底解剖!なぜ船は喜望峰へ迂回するのか

紅海とスエズ運河を地図で徹底解剖!なぜ船は喜望峰へ迂回するのかを徹底追究! 読者が気になる 重要ポイントを分かりやすく展開します。

ユーラシア大陸とアフリカ大陸の結節点に広がる海域を地図で俯瞰すると、地中海と紅海の位置関係がいかに奇跡的な近さであり、同時に極めて危ういボトルネックであるかが明確に浮かび上がります。北の地中海と南の紅海を隔てていたのは、エジプト東部に広がる幅100数十キロメートルの砂漠地帯、すなわちシナイ半島の西側に位置する地峡でした。1869年にこの地峡を掘削して開通したスエズ運河によって、人類はアフリカ大陸を一周することなく、大西洋・地中海からインド洋へと直接抜ける航路を手に入れたのです。

世界貿易航路図において、このルートは「世界の動脈」そのものです。アジア諸国から欧州を目指す商船は、インド洋からアデン湾を経て紅海に入り、スエズ運河を抜けて地中海へと進みます。全長約193キロメートルに及ぶこの人工水路を管理するエジプトスエズ運河庁(SCA)の統計によれば、平常時には年間2万隻を超える船舶がここを行き交い、世界全体の貿易量の約12%、海上コンテナ輸送に限れば約30%を担っていました。

しかし、防衛や海洋安全保障の観点から見れば、ここは典型的な海上交通路チョークポイント(首を絞めれば即座に窒息する急所)です。北の出入口がスエズ運河であるならば、南の関門はアラビア半島とアフリカ東岸が異常なまでに近接するバブ・エル・マンデブ海峡(アラビア語で「涙の門」の意)です。北と南の両端を狭い海峡で縛られた紅海は、ひとたびどちらかのゲートが塞がれれば、内部に入った巨大船が身動きを取れなくなる閉鎖海域という宿命を背負っています。

伊藤 翔太
著者

伊藤 翔太

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。